山でカモシカに出会った話
2001年08月


 すみません、今回は1年も昔の話ですが...。

 去年の6月のこと。
 東京の義母が店の手伝いに来てくれたので、夕方にドライブにお連れした。
 夏至も近い頃で、6時に店を閉めてもしばらく明るいので、山歩きの好きな義母と3人で、平栗に行くことにした。
 金沢市の郊外だが、カタクリの群落がありギフチョウも見られるので少しばかり遊歩道が整備されている。むろん、6月はカタクリやギフチョウの季節ではないが、手軽に森林浴ができる、ちょいとお気に入りのスポットなのだ。

 道路わきに車を停め、遊歩道にはいってすぐに、そいつはいた。
 最初、森林公園とかにある、動物の置き物か何かのように思った。なんでこんなとこに、あるはずのない置き物が...なんて考えていた。恥ずかしいことに、私はそれがホンモノのニホンカモシカであることに気付くのに、たっぷり数秒を要したのである。
 距離は10mくらいだろうか。たぶん彼の方でもまったく予想外の遭遇だったようで、ぴくりとも動かない。私たち3人もとりあえずじっとして彼を見つめていた。
 やがて警戒を解いたのか、カモシカはゆっくりと歩み去った。多少こちらを気にしながらも、眼下腺(目のやや前方にある分泌腺)を木にこすりつける「マーキング」(においつけ)をしながら...。
 カメラを持ってきていれば、とも思った。しかし、ストロボが必要な明るさだったことを思えば、カモシカを驚かせないためにも、撮影できなかったことは「幸運」だったと思う。

 そういえば、義母はこういうことにやたらとツイているのだった。
冬にコハクチョウの飛来地としては県内随一の羽咋市・邑知潟(おうちがた)へ行った時にも、ハクチョウだけでなく、ガンの群れやカワセミまで目撃している。

 平栗へは、その後も何度も行ったが、以来カモシカには一度も会えていない。



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